月別: 2007年9月

特選草木染むじ紬着尺 【信州飯田紬】

 

 

    

色糸の全てを本草木染し、大切に大切に生み出された一反…

頑固一徹、こだわりの創作元、通の紬ファンの間で絶大な人気を誇る、廣瀬草木染織工芸の作品でございます。
生み出した作品に対する自信は絶対のもの。
オリジナルの証紙に、その真摯な姿勢が垣間見れます。

圧倒的に作品数が少ない、こちらの織り元。
匠技はもちろんのこと、大自然の草花の命を大切にうつしとった、心のこもった「一反限り」の創作品であることが分かります。

シンプルな無地に秘された、無限に広がる深みの世界。
配色を考えて糸染めからこだわり抜き、丁寧に丁寧に織ってゆく…
さらには現代の時風を読んだ、ナチュラルカラーの彩り。

実際に触れていただけないのが、本当に残念です。
ふんわりとやわらか、豊かな節感に、大自然の息吹が感じられます。
このやわらかさは、経糸を「緩めて」織り上げているからこそ。
微妙な力加減で、本当に難しい熟練を要する織り方でもあるそうです。

信州飯田の美しい自然の恵みから生まれた織物です。
軽くしなやかな真綿の良さと、草木染でしか表現できないお色の良さ。
流行に左右されることなく末長くお袖を通していただけます。
着込めば着込むほど、結城紬のようにしなやかさが増し、また本草木染のお品ですので、色合いにも味わいがにじみ出てまいります。

2007年 9月10日  カテゴリー:きょうの逸品

特選刺繍引箔丸巻袋帯 【総蘇州相良刺繍】

 

  

柄行を埋め尽くすように一針、一針縫い上げてゆく刺繍の技。
その技術の粋を集めて製作されました、総相良刺繍による袋帯をご紹介いたします。

今回のお品に用いられましたのは、2500年前、中国で生まれた蘇州刺繍。
その精巧な技術と繊細さで、世界最高峰の刺繍技術として評価されています。
蘇州刺繍は蘇繍とも呼ばれ、湖南の湘繍、四川の蜀繍、 広州の広繍(粤繍)があり、これらは「四大刺繍」として広く知られております。
その精巧さは世界の刺繍の中でも最高レベルと誉れが高く、髪の毛ほどの細さの刺繍糸を使ったその仕上がりは、多くのきものファンを魅了します。

その中でも、同国では一般公開が禁止される程の高い技術を集めた”相良刺繍”。
打子刺繍(ダーツ刺繍)とも呼ばれ、その技術を完璧に習得するには20~30年もの鍛錬が必要とされています。
本品のような一枚のお着物には、およそ100万粒以上もの刺繍が施されるそうです。
その数だけでも、製作にかけられた時間と手間は計り知れないものがございます。

幾重にも重なるように、彩り豊かな色糸を用いて表現した、華やかさと上品さを兼ね備えた面持ちです。

その意匠が、全て”蘇州刺繍”によって、ふっくらと立体的に表現され、まさしく、他にはまず見かけることのない帯に仕上がっております。

2007年 9月3日  カテゴリー:きょうの逸品