月別: 2010年7月

特撰本草木染手織り紬 重要無形文化財保持者  【人間国宝 志村ふくみ】

 

     

至宝の美をつむぐ、崇高なまでの感性と技…
二つとないその風合いや彩りに、思わず吐息がこぼれてしまいます。

採取したばかりの草木でその時々の色をうつしとる志村氏の草木染。
あえて色みを調節せずに、そのものの色を頂くからこそ、透明感やそのものの良さが表現されるという志村氏の作品。

さらりとやわらかさある紬地。
しなやかな中にも感じられる細やかなハリは、まさに草木の息吹までも閉じ込めたかのような…。

いったいどれほどの草木を込められたのでしょう…
これほどの色糸を表現するのに一体どれほどの時間を費やし、どれほどの想いが込められてきたのでしょうか。

近づいて浮かび上がる、味わい深いひとつひとつの色どり。
日本の文化と伝統を愛する方にこそ、お召しいただきたい芸術品でございます。

2010年 7月28日  カテゴリー:人間国宝

傑作加賀友禅黒留袖 初代 由水十久

 

   

銘「矢の根」
歌舞伎十八番の一つである演目を題材に、兄弟二人の童を描いたその表情。
細い糸目の友禅であしらわれた細部。
衣服の質感までもを描ききる由水十久氏ならではの精緻な筆使い。
研ぎ澄まされた空間性を感じさせて…
見るものすべてを幽玄の瞬間へいざなうかのよう。

もちろんご覧になられる方にもよりますが、二代目と比較しても、初代の方がその表情は「まろやか」とも言われます。

2010年 7月21日  カテゴリー:人間国宝