日別: 2011年2月7日

本場琉球紅型小紋着尺 【人間国宝 玉那覇有公】

  

国指定重要無形文化財「紅型」の保持者(人間国宝)玉那覇有公氏による、本場玉那覇びんがた小紋着尺をご紹介いたします。

玉那覇有公氏は、琉球王朝時代からの紅型三宗家(城間、知念、沢岻家)の一家、城間家14代・城間栄喜に師事し、修行を始め34歳に公募展へ初出品してから数々の賞を受賞し、1996年60歳の時、人間国宝に認定されました。

柳宗悦にはじまる民藝運動によって、蒐集された沖縄の布。戦火による消失から救われた古紅型や織物の精緻な型染めもよう、筒引きの力強い色は、多くの人の心に感動を与えました。

もともとは、身分の高い者だけに着用を許され、一般的には禁断の布であった紅型。
廃藩置県によって王朝の庇護はなくなり、戦争によって多くの型紙や道具が失われましたが、そのような辛苦を乗り越えて創作を続けた職人の情熱は失われません。

紅型は、丁寧にひとつひとつ細かな型を彫り、白生地に糊置きをし、顔料・染料を用いて色を挿していきます。
水で糊を洗い流してあざやかな色彩が顔を出す瞬間の感動をお届けさせていただきたいと思います。

各工程に力を注いで、丹精込めて仕上げた紅型。
ひとつひとつの丁寧な手作業と、刺繍や金箔などを使わずに、顔料の発色の鮮やかさと型のデザイン性だけで勝負した染め帯ですので、凛とした美しさが感じられます。

今回ご紹介するのは、玉那覇氏により大変な手間を惜しまずに染めあげたお品です。
琉球の彩り使い。何色もの色を反物の巻き始めまで寸分の狂いなく、染め上げられました。

一色一色の彩りが心に響くかのような…。
深い深い色彩美には、見るものの心を奪う特別な魅力すら感じさせます。

淡いブルーグレーの優しい地色に、紗綾型を基調に込めて、その中に映える「彩花」を、紅型ならではの彩りの冴えにて表現いたしました。

2011年 2月7日  カテゴリー:人間国宝