傑作経錦(たてにしき)袋帯 重要無形文化財保持者 【人間国宝 北村武資】

   

重要無形文化財保持者、人間国宝 北村武資(きたむらたけし)氏の傑作袋帯をご紹介いたします。

「経錦」と「羅」の二つにおいて、重要無形文化財保持者の認定をうけている北村武資氏。

その作品はいずれも、伝統的な織物を構成する要素に変化を加え、現代の美として甦らせることを意図して生み出されたものです。
古代技術の復元に留まらず、「現代に生きる織」を志向。
新たな織物美の創出を志すその作風は、国内外で高い評価を得ています。

もちろんこの織り味をだせるのは、北村武資氏だけ。
西陣のメーカーさんが北村氏の帯をほどいて組織を研究し同じものを織り上げようとしましたが、誰も復元することができなかったというエピソードもございます。

~経錦(たてにしき)~
3色以上の経糸で重層的に組みあげ、経糸の浮き沈みで帯地と文様を模様を織り表す技法。
数色の色経糸をまとめて1本のように扱って地や文様に必要な色経糸を表に出し、残りの色経糸を裏側に沈めることによって作ります。

淡い柳茶色を基調とした地に表現された「瑞宝紋」。
朱の華紋や鶸(ひわ)色の獅子などを繊細に浮かべて、実に趣深い面持ちに仕上げました。

ここまでのデザイン性のあるお品には、そうお目にかかれません。

現代の空間に溶け合うモダンで立体感ある表情。
最小限の色使いで創作されながら表情豊かな仕上がりは、さすが名人のひと品といえましょう。

本当に上品な風格。
最小限のお色使いながらも悠久普遍の美の表情を演出し…
また合わせるお着物の魅力を最大限にひきだしてくれるひと品でございます。

2011年 1月31日  カテゴリー:人間国宝