国指定重要無形文化財「紅型」の保持者(人間国宝)玉那覇有公氏による、本場玉那覇びんがた九寸帯をご紹介いたします。
玉那覇有公氏は、琉球王朝時代からの紅型三宗家(城間、知念、沢岻家)の一家、城間家14代・城間栄喜に師事し、修行を始め34歳に公募展へ初出品してから数々の賞を受賞。1996年60歳の時、人間国宝に認定されました。
柳宗悦にはじまる民藝運動によって、蒐集された沖縄の布。戦火による消失から救われた古紅型や織物の精緻な型染めもよう、筒引きの力強い色は、多くの人の心に感動を与えました。
もともとは、身分の高い者だけに着用を許され、一般的には禁断の布であった紅型。
廃藩置県によって王朝の庇護はなくなり、戦争によって多くの型紙や道具が失われましたが、そのような辛苦を乗り越えて創作を続けた職人の情熱は失われません。
紅型は、丁寧にひとつひとつ細かな型を彫り、白生地に糊置きをし、顔料・染料を用いて色を挿していきます。
水で糊を洗い流してあざやかな色彩が顔を出す瞬間の感動をお届けさせていただきたいと思います。
各工程に力を注いで、丹精込めて仕上げた紅型。
ひとつひとつの丁寧な手作業と、刺繍や金箔などを使わずに、顔料の発色の鮮やかさと型のデザイン性だけで勝負した染め帯ですので、凛とした美しさが感じられます。
今回ご紹介するのは、玉那覇氏により大変な手間を惜しまずに染めあげたお品です。
琉球の彩り使い…何色もの色を寸分の狂いなく染め上げられました。
絹地には、瑞宝模様を浮かべた「宗薫緞子」地を用いました。
地厚で発色がよく、紅型帯に用いられる事の多い上質生地です。
無地場は青藤色、お柄の背景にはすっきりとオフホワイトと青磁色を交互に用い、鮮やかな横段模様を表しました。
その段の中に浮かぶ、琉球の彩り鮮やかな花意匠。
身の回りの物に題材を得る琉球紅型らしく、芭蕉の葉、葵に茄子をそれぞれに込めて…
帯地にも抜群に映える、美しい仕上がりでございます。