今から遡ること460年。
西暦1555年(弘治元年)、千切屋西村家が京都三条烏丸西入御倉町の地に織物業を始めたことが千總の創業のはじまりとされております。
もともと千總の先祖は藤原氏の出で、奈良興福寺の一乗院に関係が深く、春日大社の若宮祭に『千切花』(ちぎりばな)と呼ぶ供花を捧げるのを慣例としていました。
京都に移ったのは、平安遷都に際し都城造営の仕事を命ぜられたからだといいます。
この宮大工のときに『千切屋』の屋号を賜り、そして織物業の創業にあたり千切屋總左衛門の名から『千總』と名付けたのでした。
その後、江戸の中期にかけて友禅染めが大流行し、千總も御所や宮家の御用をはじめとして友禅小袖を手がけ、その優秀な技術と感覚が賞賛を得ました。
昭和33年には皇太子様御成婚のための美智子様調度品の御用命を受ける等、現在に至るまで 「千總の友禅」は多くの人々にとって憧れの存在となっております。
今回ご紹介いたしますのは、「千總らしさ」を感じさせる最高級の逸品。
その時流の流行色やデザインだけを追いかけるのではなく、不易流行の「美しさ」を求めて製作された振袖ですので、悠久の愛らしさやたおやかさが香りたつようです。