傑作本手描京友禅お振袖 創業450余年・老舗【千總】

 

    

 

今から遡ること450年あまり。
西暦1555年(弘治元年)、千切屋西村家が京都三条烏丸西入御倉町の地に織物業を始めたことが千總の創業のはじまりとされております。

もともと千總の先祖は藤原氏の出で、奈良興福寺の一乗院に関係が深く、春日大社の若宮祭に『千切花』(ちぎりばな)と呼ぶ供花を捧げるのを慣例としていました。

京都に移ったのは、平安遷都に際し都城造営の仕事を命ぜられたからだといいます。
この宮大工のときに『千切屋』の屋号を賜り、そして織物業の創業にあたり千切屋總左衛門の名から『千總』と名付けたのでした。

その後、江戸の中期にかけて友禅染めが大流行し、千總も御所や宮家の御用をはじめとして友禅小袖を手がけ、その優秀な技術と感覚が賞賛を得ました。
昭和33年には皇太子様御成婚のための美智子様調度品の御用命を受ける等、現在に至るまで 「千總の友禅」は多くの人々にとって憧れの存在となっております。

今回ご紹介いたしますのは、「千總らしさ」を感じさせる最高級の逸品。
その時流の流行色やデザインだけを追いかけるのではなく、不易流行の「美しさ」を求めて製作された振袖ですので、悠久の愛らしさやたおやかさが香りたつようです。

自然の絹布の優しさと力強ささえ感じる、厳選された丹後の紋綸子地。
しっとりと、地色は描かれる古典柄が雅やかに浮かび上がる水色地。

紗綾形に草花の地紋がしっかりと艶めき、はんなりと鮮やかながらも
上品さを醸し出す、それだけで上質を感じる心躍る絹地です。

ここそこに広がる、悠久の古典文様…
大きく、小さく華やぐ、桜や梅、楓などの四季花に、装飾豊かな文様が、金屏風を背景にしたような枠組みの内外に所狭しと表現されました。

地色の発色の素晴らしさはもとより、白く細い本糸目の輪郭線、金彩加工の重さ、唐織のような刺繍のボリュームなど、どれをとっても非のうちどころのない素晴らしい仕上りです。

2015年 11月9日  カテゴリー:きょうの逸品